「バイオ分析研究懇談会」設立趣旨

 

”バイオ分析化学”は、動・植物などの個体、さらに細胞、タンパク質、核酸、脂質、糖鎖などの生体由来成分を対象とする分析化学であり、様々な状態の生体試料を専門的に扱う学問分野である。医学、薬学、生物学を支えるバイオテクノロジー分野は魅力的な研究領域であり、従来の分析化学的手法のみではアプローチ不可能な分析対象が多く存在する。美しく複雑な生命現象を理解するためには、全く新しい分析概念の提案が必要となるため、分析対象に視点を置きつつ、異分野で発見された技術や材料、複数の分析手法の融合などを積極的に行うことで、新しい手法や分野を開発・開拓する強い姿勢が求められる。例えば、緑色蛍光タンパク質の発見と応用が生命科学の進歩に大きなインパクトを与えたように、バイオ分野における新たな分子・材料の開発や分析手法の構築が、今後の生命科学分野における大きな進歩をもたらすにことに疑う余地はない。
「バイオ分析」は、新しい測定対象の探索から分析方法論の提案まで非常に広範囲を扱う学問分野である。関連する学会としては、日本化学会、ケミカルバイオロジー学会、高分子学会、生物工学会、薬学会、分子生物学会、生化学会など、数えきれないほど多岐にわたる。また、「バイオ分析」は、科研費細目名「分析化学」のキーワードの一つであることからも、日本分析化学会における重要な研究分野として認められている。しかし、その活動は様々な分野の学協会に分散しており、日本分析化学会の中においても統率された状況にないまま、今日に至るのが現状である。
一方、我々は、これまで日本化学会春季年会の場を活用し、バイオ分析化学に関する活動を独自に行ってきた。若手研究者らによる講演会「機能性材料・デバイスで新時代の生命分析化学を切り開く(平成28年3月)」と「分析法を極めて生命現象に迫る(平成29年3月)」と題した特別企画では、様々な分野からの参加者による分野横断的な議論が活発に行われ、化学工業日報(平成29年3月)に記事としてとりあげられた。本活動は「バイオ分析化学」の存在を世間一般に広く伝えることに繋がったが、バイオ分析技術の情報交換や情報発信を今後も継続して精力的に行うための適切な場がないと常々感じていた。
日本分析化学会は第一線の研究者を多く有し、分析対象やアプローチの垣根を越えてバイオ分析技術に関する情報交換や啓蒙などの活動を行うにふさわしい場であると考える。定期的に勉強会やシンポジウム、講演会などを行い、バイオ分析技術に関する情報交換や啓蒙、さらに積極的な若手育成などを行うため、新規に「バイオ分析研究懇談会」の設立を申請する。また、本「バイオ分析研究懇談会」は、日本分析化学会以外の各学会に分散した研究者・技術者を網羅することができ、本会の会員増強の一翼を担うことも期待できる。

 

「バイオ分析研究懇談会」設立準備世話人会
代表・佐藤 守俊